島袋医師(研修管理委員長)
自己紹介をお願いします。
2024年度より研修管理委員長を担当しております、島袋伸洋です。沖縄生まれ、沖縄育ちです。2008年に医師免許を取得し、当院の心臓血管外科に所属しています。専門は末梢血管です。研修管理委員長となってまだ日が浅く、前任の嘉数真教先生(当院循環器内科部長)をはじめ、多くの人に助けられながら日々精進しています。
島袋先生の初期研修のころについて教えてください
私は2008年~2010年に初期研修医を経験しました。大学を卒業したら即入局、という時代ではなく、現在のスーパーローテートが始まって5年目となる年の初期研修医で、沖縄群星プログラムの5期生です。5年程度経過していたため、ある程度プログラムも充実しており、今と同じく外部から先生が月に数回来てくださり、教育回診もありました。今と違うのは、当直が10回以上ある月もあり、また、当直の次の日もいつも通り働いていました。『習うより慣れろ』という感じで働き、非常に多くの症例を見ることができました。大変でしたが、充実した日々を送っていました。今ではよい思い出です。
友愛医療センターのプログラムの特徴を教えてください
友愛医療センターは群星沖縄プログラムに属しており、研修医にできるだけ積極的に、主体的に患者を診てもらうという点は、他の連携病院と同じだと思います。
当院は医師の数が150人以上と多く、指導医の人数や診療科も多いため、充実した指導体制をバックアップに、幅広く多くの症例を経験することができるのが特徴です。また、医局はワンフロアにすべての科の先生がいるため、科ごとの垣根も低く、相談しやすい環境となっています。
研修医教育の具体的な例としては、医療用シミュレーターを利用した心エコーを含めた心臓の講義のほか、動物を用いた胸腔ドレーンの挿入方法や緊急気管切開の方法など、座学だけではなく、より実践的な教育も行っております。当院で2年間の初期研修医プログラムを終えた後は、どこの病院でも働ける一人前の医師となることができます。
また、休暇をしっかりとることも大事にしています。オンとオフをしっかり切り替える。がむしゃらに行えば知識や経験は増えていくというのは、正直よい考えだとは思いません。勤務内はしっかり働き、勤務外はしっかり休むことでリフレッシュでき、内容の濃い研修ができると考えています。具体的には、当直明けの日は丸1日休みをとれるようにし、週休制度として、年休とは別に月に数日の休みをとれるようにしています。
先生が指導医として心がけていることはありますか?
私は主に救急外来の夜間当直の時に研修医を指導することが多いです。
その際に心がけていることは、なるべく研修医が患者を診て、自分で判断するような機会をもってもらう、ということです。もちろん、私もサポートしますが、自分で考えて行動するのと、他人から答えを聞いてそれを遂行するのとでは、大きな違いがあると考えています。
どんな研修医が育ってほしいと考えていますか?
自分のことを“研修医”という視点ではなく、“一人の医師”として行動するような医師が育ってほしいと考えています。患者にとっては研修医も一人の医師です。主治医ではないからできないのではなく、担当医であるからこそできることもあるはずです。主治医と同じ熱量で患者を診ることで、性格や社会背景なども加味しながらコミュニケーションをとることができ、そこから患者の異変や精神的な不安などをいち早く察知することは、むしろ、初期研修医だからこそできるのではないでしょうか。
研修医が学ぶときに大事なことはなんでしょうか?
主体性をもって患者を診ることだと考えます。例えば、重症患者が来た際に、知識や経験がないから何もできないのではなく、持っている知識と経験で何かできないかを考え、行動することです。もちろん、人を呼ぶということも立派な仕事ですし、オーダーを入れることだって、仕事です。できることを積み重ねていく、そして、増やしていくことが大事だと思います。
学生時代にしておいた方がいいことはありますか?
学生時代は学生時代にしかできないことをしてほしいと思います。それは部活であったり、バイトであったり、旅であったり、朝まで飲み明かすさあったり、さまざまです。社会人になると時間的に余裕がなくなり、制限されることがたくさんあります。もちろん、医学・医療に関して勉強することも大事だとは思いますが、それ以上に大事なこともたくさんあるはずです。抽象的な言い方で申し訳ありませんが、人それぞれ大事なことは異なると思いますので、自身が大事だと思うことを全力でやってほしいと思います。
研修医に支えられていると感じる場面はありますか?
研修医に支えられていると感じることは常にあります。というよりは、研修医は医療チームの一人だと考えています。歯車の一つです。何かを動かすとき、歯車の一つがなければそもそも動きません。救急外来で初期研修医が最初に患者を診る、その時に私はある程度客観的な立場から患者をみることができ、冷静に判断する機会を得ることができる。指導もしているかもしれませんが、同時に支えられてもいます。
将来の研修医教育に対する取り組みやビジョン、展望があれば教えてください。
当院の研究教育は、多くの先生が考え、協力してくださり、現時点で修正するところがないぐらい充実していると思います。特に教育に対する取り組みを大きく変更する必要はありません。一方で、医師の働き方については大きく変わっていく必要があると感じています。これは非常に大事なことで、2024年度から新制度が施行された「医師の働き方改革」には賛成です。長く診療、勤務していればよいというわけではありません。今までの研修医と同程度の実力を保ちながら、時間内に勤務を終え、休暇も確実に取り、また、取りやすい環境をつくる。当院でもそこに積極的に取り組んでいきたいと考えています。
先生の現在の休日の過ごし方、リフレッシュ方法があれば教えてください。
休日は主に1週間分の買い物をしたり、子供と釣りやTVゲーム、キャッチボールをしたりしています。最近は子供が大きくなって、釣りは私よりも上手になり、TVゲームでも勝てなくなっています。